京都観世会11月例会
Monthly Performances (November)

公演日時:2019/11/24(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能)菊慈童  遊舞之楽  大江又三郎
(狂言)狐塚        茂山千五郎
(能)井筒   物著    井上裕久
(能)安達原        河村晴道
       白頭 急進之出
入場料:
一般前売 ¥6,000
一般当日 ¥6,500
学  生 ¥3,000

演目解説

菊慈童 遊舞之楽 きくじどう ゆうぶのがく
 古代中国、魏の国の文帝の頃、酈県山(れっけんざん)の麓から霊水が流れ出るというので、勅使がその源を訪ねるべく、山におもむく。勅使は菊の花の咲き乱れた山中の庵に、一人の不思議な少年を見つける。「人間の住まぬこの山奥にいるお前は化生の者か」と尋ねると、「私は周の穆王(ぼくおう)に仕えていた侍童です」と答える。勅使は「周というのはもう数代も前の世だ」と驚く。話をきくと、彼は穆王に召使われていたとき、過って王の枕をまたぎその罰でこの山に配流されたが、少年に悪意のないことを知った王は、その枕に二句の偈(げ=仏徳を讃えた詩)を書き添えて与えた。その文字を菊の葉の上に移し書くと、その葉の露が霊薬となり、それを飲んでいたため少年は七百年後までも若々しく生きながらえていたのだ。慈童自身も自分の長寿に驚き、楽しく舞を舞ったあと、寿命を君に捧げそのまま山中の仙家へと帰ってゆく。
菊花の咲き乱れる神仙境に、清純な生活を楽しむ永遠の少年を主人公として、菊花のめでたさと不老長寿という人間の憧憬を描いた明るい作品である。

井筒 いづつ
 秋の暮、旅僧が在原業平の古跡、石上を訪れる。荒れ果てた野に井戸がひとつ残っている。そこへ里の女が現れ、前の塚に回向する。僧の問いにこれは業平の塚であると答え、『伊勢物語』二十三段を語る。昔ここに幼い男女が暮らし、日ごろ井戸のそばで遊んでいた。長ずるにしたがいお互い恥じるすべを知り、行き来も絶えたが、やがて男から「筒井筒井筒にかけしまろがたけ生ひにけらしな妹見ざる間に」と求愛し、女も「比べ来し振分髪も肩過ぎぬ君ならずして誰かあぐべき」と答えてついに結ばれた。しかし、男は別の女のもとへ通うようになる。女が何も責めないので、男は妻にも別の男が通うのかと、茂みに隠れて様子を窺うと「風吹けば沖つ白波龍田山夜半にや君がひとり行くらん」と夫の身を案じていた。その切実な心に夫の心は妻のもとに戻った。里女はそれは自分であると名のり、井筒の蔭に姿を消す。〈中入〉
僧が通夜をしていると、女は恋しい業平の形見の冠、直衣を身につけて現れる。過去を追憶する舞を舞い、井戸を見こむと、水鏡に映るのは恋しい人の面影。過去への想いにむせび、夜明前に霊は消えて行く。

安達原安達原 あだちがはら
 野の山伏・阿闍梨祐慶の一行は、回国行脚の途中、陸奥の安達が原にやってきた。日も暮れたので野中の一軒家に宿を求めると、女主人は一旦断るが、たっての願いに一行を招き入れる。祐慶が部屋の隅に置かれた見馴れない物に気づき訊ねると、女主人はこれは枠桛輪(糸つむぎの輪)といい、賎しい女の営む業であると答え、糸車を回しながら浅ましい身の上を嘆き、糸尽くしの歌を歌う。やがて女は焚火をしてもてなそうと、山へ薪を取りに出かけるが、留守に閨の中を決して見ないようにと言い残す。〈中入〉
 祐慶の従者が閨の内を覗くと、そこには沢山の死骸が山と積まれていた。さては話に聞いた黒塚の鬼の棲み家であったかと、一行はあわてて逃げ出す。そこへ女が鬼女となって現れ、約束を破ったことを恨み、食い殺そうと迫ってくる。祐慶達は五大尊明王に祈り、終に祈り伏せると、鬼女は凄まじい声を残して夜嵐とともに消え失せる。

出演者紹介
CAST

大江又三郎
Ooe Matasaburou
日本能楽会会員

茂山千五郎
Shigeyama Sengoro
日本能楽会会員

井上裕久
Inoue Hirohisa
日本能楽会会員

河村晴道
Kawamura Harumichi
日本能楽会会員