京都観世会12月例会
Monthly Performances (December)

公演日時:2019/12/15(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 清経        大江泰正
(狂言)腰祈        野村又三郎
(能) 浮舟  彩色    橋本擴三郎
(能) 紅葉狩 鬼揃    林宗一郎
入場料:
前売券(1階当日指定席)  ¥6,000
当日券(1階当日指定席)  ¥6,500
学生券(2階自由席)    ¥3,000

演目解説

清経 きよつね
平清経の家来・淡津三郎が、清経が西国で入水自殺したという知らせと、残された清経の形見・黒髪を持ち、源平の戦の続くさなか、忍び忍びに都・清経の妻のもとへとやって来る。清経の妻は夫の無事を祈り、ひとり耐えて都で待っている。三郎は重い口を開き、清経入水を知らせる。妻は驚き絶望し、「討たれたなら、また病に倒れたというならばあきらめもつくけれど、自ら身を投げるとは」と、夫の裏切りに恨み言をつらねる。三郎は清経の形見の「鬢の髪」を妻に手渡す。見る程に辛くなる形見を、一首の歌と共に妻は手向け返す(気持ちの中で形見を受け取らず夫につき返したのである)。「見る度に心づくしのかみなればうさにぞ返す本の社に」。夢になりとも逢いたいものと涙ながらに眠る妻の夢枕に清経が現れる。まずは喜ぶ妻。しかしいつまでも添いとげると「契り」をかわしたのに自ら命を絶つのは約束やぶりだと妻は夫を責める。夫は形見を返したことを責める。清経は入水に至った経緯を語り始める。「世の中のうさには神もなきものを何祈るらん心づくしに」。宇佐八幡(戦の神)のお告げをうけ、仏神三宝も平家をお見捨てになったかと絶望し、ひとり入水したのだった。妻は聞くにたえず、あなたとの「契り」が恨めしいと嘆く。清経は「もう言うな、奈落(地獄)もこの世も同じだ」と断じ、その後、修羅道に堕ちたのだが、入水の際に唱えた十念(念仏)のおかげで仏果を得る(成仏する)ことができたといい、夫は妻の前から消えて行く。
 夫と妻の相容れない想いの違い、愛するがゆえの悲劇を『平家物語』の無常観の中に、抒情的に描いた名作。

浮舟 彩色 うきふね さいしき
 初瀬から都へ向かう旅の僧が、宇治川で芝船に乗る女と出会う。女は僧の問いに、昔この地にいた浮舟の物語をする。光源氏の子(実は柏木の子)である薫に愛された浮舟は、朱雀院の子である兵部卿の匂宮に通じることになり、二人への想いに耐えられず、姿を消した。詳しく語る女に、僧は住まいを尋ねると、小野の者と答え、物の怪に苦しむ身の救いを求めて消え失せる。<中入>
 所の者から浮舟の物語を聞いた僧は、小野に行き、経を読んで弔いをする。すると、浮舟の霊が現れ、物の怪に取り憑かれ、心も空になった有様を見せるが、僧の弔いに助けられたことを喜び、夜明けとともに姿を消す。

紅葉狩 鬼揃 もみじがり おにぞろい
 戸隠山は全山紅葉に染まる。美しい上臈たちが紅葉狩りに分け入り、木蔭に幕を廻らし、屏風を立て、酒宴を始める。これも鹿狩りに分け入った平惟茂一行は、酒宴の邪魔をすまいと、道を代えて行き過ぎようとする。と、酒宴の主と見えて、ひときわ美しい女性が惟茂の袖にすがり引き留める。その色香に心を奪われた惟茂は、誘われるまま宴に加わる。盃が重なる。美女たちが舞う。夢のような時が過ぎる。いつしか惟茂は酔い伏してしまう。男山八幡はこの有様を見とおし、末社武内の神を使いに立て、神刀を惟茂に与える。惟茂は夢から覚める。女たちはいない。酒宴もない。雷火が乱れ落ちる。先刻の女たちは鬼となって惟茂に襲いかかる。しかし神刀によって、惟茂はみごとに鬼を退治する。  息詰まるほどの鮮やかな色彩に染まる山中で、男は、この世とも思われぬ美女と出会った。誘惑には勝てぬ、男の性〈さが〉だ。美しい女性ほど、内に魔性を秘めるのか。蠱惑(こわく)的な女の魅力。
 前場に舞が置かれるのは、信光の創意。また、『道成寺』『殺生石』などと同様、舞台を圧するオブジェが美女をのみこみ、鬼を吐き出す趣向には化生の怪しい緊張感が漲っている。いずれも「近江女」という面を懸ける習慣のある曲である。

出演者紹介
CAST

大江泰正
Oe Yasumasa

野村又三郎
Nomura Matasaburo
日本能楽会会員

橋本擴三郎
Hashimoto Kozaburo
日本能楽会会員

林宗一郎
Hayashi Soichiro