京都観世会9月例会
Monthly Performances (September)

公演日時:2020/09/27(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能)俊寛 落葉之伝    橋本雅夫
(狂言)清水        小笠原匡
(能)仏原         河村和重
(能)融 窕        河村晴久
入場料:
本公演は新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに沿った対策を講じた公演とさせて頂きます。

演目解説

俊寛 しゅんかん 落葉之伝 おちばのでん
 平清盛の娘、中宮徳子の安産の祈りの為、鬼界島へも赦免使が立つ。島には、平家討伐を企てた鹿谷の陰謀が発覚し、遠流となった俊寛、成経、康頼の三人が居る。成経、康頼二人は今日も、島に勧請した三熊野に参詣し、帰洛を祈っている。しかし俊寛一人は神仏をも頼まず、ただ昔を思い、心を閉ざすばかりであった。そこへ赦免使が着く。俊寛は受け取った赦免状を康頼に渡し、読ませる。だが俊寛の名が無い。「何とて俊寛をば読み落し給ふぞ」「さては筆者の誤りか」「もしも礼紙にやあるらん」「夢ならば覚めよ」と、現実を受け入れることができない俊寛は、赦免状を地に投げ捨て号泣する。出船の時が来ると康頼の袂にすがり「せめては向いの地にまでなりとも」と赦免使に懇願するが受け入れられない。船の纜(ともづな)にすがり、船に手を合わせ、渚にひれ伏すが、終に船影も人影も消えて見えなくなってしまった。
仏原 ほとけのはら
 都方の僧が白山禅定を志し、加賀の仏原に着く。とある草堂に立ち寄ると、女が現れ、当所より出た白拍子、仏御前の弔いを勧める。女は更に語る―昔、平相国の時、祇王という白拍子はその寵愛を受けていたが、清盛の心は仏御前に移り、祇王は髪を下して嵯峨野に庵を結んだ。ところが仏御前も祇王の跡を追い、世を捨てて祇王を訪ねた―と。加賀より都へ上った仏を清盛に取りなしたのは祇王であった。しかし清盛の心変りによって捨てられた祇王の身の上に、明日の我が身を映し取った仏は、世の無常を観じて自ら仏道に入ったのである。実はこの草堂の主は仏御前と言い捨て、女は消え失せた。                           〈中入〉
 僧は里の男から、仏御前のことを詳しく聞き、跡を弔う。その夢枕に、白拍子の出立ちで仏御前が再び現れる。そして舞の袖を返すと草木も靡き、さながら極楽世界の如くになる。「この世は夢幻の一睡の中、仏もあるまじ、まして人間もあらじ」と世の無常を示して消えてゆく。

とおる くつろぎ
 東国の僧が都に上って、六条河原院の跡に着いて休んでいると、田子を担った老人がやってくる。この辺りの人かと尋ねると、この所の汐汲みだと答える。僧が海辺でもない土地で汐を汲むとはおかしいと言うと、ここは昔、源融公が広大な屋敷を造り、庭内に陸奥の塩釜の景観を移したところであると答える。老人は僧の問うままに、融が日毎に難波の浦から潮水を運ばせここで塩を焼かせるという豪奢な風流を楽しんだが、相続をする人もなく荒れ果ててしまったことを物語る。そして、遠近の名所を教え、やがて汀に立ち寄って汐を汲むかと思うと、姿は消え失せる。 〈中入〉
 その夜、僧がそこで仮寝をしていると、融公が貴人の姿で現れ、昔を偲んで名月の下で舞をまい、夜明けとともに月の都へと帰ってゆく。

出演者紹介
CAST

橋本雅夫
Hashimoto Masao
日本能楽会会員

小笠原匡
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

河村和重
Kawamura Kazushige
日本能楽会会員

河村晴久
Kawamura Haruhisa
日本能楽会会員