京都観世会2月例会
Monthly Performances (February)

公演日時:2021/02/28(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能)自然居士 忍辱之舞  井上裕久
(狂言)鴈礫        茂山忠三郎
(能)雲林院        河村和重
(能)吉野琴        浦田保親
入場料:
前売券 一般  自由席   ¥6,000
    学生2階自由席   ¥3,000

特別会員年間会費(会員券10枚) ¥75,000
普通会員年間会費(会員券10枚) ¥43,000
6回会員年間会費(会員券6枚)  ¥30,000

※1/11更新 【字幕解説サービス】
 諸事情により2月例会では休止させていただきます。
    ***2月例会前売券について***
※2/14更新 前売券は予定枚数を終了いたしました。
 なお年間普通会員・6回会員の方は、事前予約無しでご入場いただけます。

演目解説

自然居士 じねんこじ 忍辱之舞 にんにくのまい
 京都の雲居寺では造営の資金を得るために、自然居士の説法が行われていた。そこへ一人の少女がやって来て、両親の追善供養のために身を売って得た小袖に諷誦文を添えて居士に捧げる。人々はその孝行心にひどく心を打たれるが、そこへ東国の人商人がやって来て、少女を連れ去ってしまう。それを知った居士は説法を中止して後を追い、大津の浜から船出しようとする人商人を引き留め、小袖を返すから少女を戻してくれと言う。人商人は居士を下船させようとするが、居士が少しも動じないので、色々となぶった上で返してやろうと思い、曲舞や簓、羯鼓と次々に所望する。居士は嫌々ながらも少女のために望まれるままに謡い舞い、少女を連れて都へと帰る。
 前段の説法の場面、後段の琵琶湖を舞台にした人商人とのやりとりや、喝食舞(中之舞)、曲舞、羯鼓など見どころや聞きどころの多い、芸尽しの能で、容姿端麗な自然居士の雄弁さと器用な芸が際立つ。どの人物の登場にも囃子を用いていないところからも、台詞劇に仕立てようとした意図も伺え、テンポよくドラマチックな能となっている。

雲林院 うんりんいん
幼い頃から『伊勢物語』を愛読する芦屋の里の公光(きんみつ)が、夢の告げにより桜の花の咲き乱れる都、紫野の雲林院に至る。公光が桜の一枝を折ると、風流で小うるさい老翁が現われ、花折りを咎める。二人は互に桜を詠んだ古歌を引いて、花折る行為の善悪を言い争う。公光が『伊勢物語』を持った業平と二条の后(きさき)とが雲林院に佇む姿を夢で見て都へ来た由を語ると、「伊勢物語の秘事を授けよう、花の陰で霊験を待て」と老翁みずからが業平の霊であると明かして、夕霞の中に消え失せる。
                                  〈中入〉
 やがて公光の夢の中に業平の霊が現れ、二条の后を宮中から誘い出した『伊勢物語』の芥川の段の秘事を教え、昔日を懐かしみ、春の夜の月下に夜遊の舞を舞いながら夜もすがら「昔男のいにしへ」を語り聞かせるうち、業平の姿も消え、夢も覚める。「伊勢物語伝授」は、「古今伝授」と並ぶ古典の秘事の相伝であった。

吉野琴 よしのごと
紀貫之は吉野山の花が盛りのよしを聞いて、一行とともに大和路にかかる。雲も霞も春一色に染まる中、一行が爛漫の名花に心奪われている。
すると、どこからともなく供の女性に玉琴を抱かせた典雅な女性が現れる。ここは昔、道に踏み迷った浄見原天皇(天武)が、しばし身を休め、気色に愛でて月の夜琴を奏でたところで、その音色が天にとどき、天地の音感あい通じ、天女が天降って、左右颯々と袖を五度ひるがえして舞った青垣山であることを語り、御身は内裏の琴の役者ゆえ、この好季、この佳景に、この唐玉琴を弾きたまえば、かならず天女が影向するであろうと、その琴を貫之に与え、天に昇っていった。         〈中入〉
来あわせた所の者にこの山の来歴を聞いた貫之が、くだんの琴を弾じる折から、いにしえの天女が天降り、禁中の五節の舞の祖曲を奏で、花の遊楽は夜もすがら続き、白む月の名残りとともに天女は昇天するのだった。
 天女が舞い奏でる天上の楽舞と、貫之が弾じる地上の琴の奏楽とが相い応じる、天地相応・饗応の姿を優雅に描く。
 近江猿楽の名手・犬王の天女の舞の妙技に魅せられた世阿弥は、自らの大和猿楽にもとりいれた。三十代半ばで早世した嫡子・元雅もその意識を継承し、天女の舞を観世の座で演じた証となる曲目。やがて元雅は天河大弁財天社に奉納、面を納め、程なくこの世を去る。
 平成二十六年、京都観世会「第三回復曲試演の会(シテ・片山九郎右衛門)」にて復曲初演。

出演者紹介
CAST

井上裕久
Inoue Hirohisa
日本能楽会会員

茂山忠三郎
Shigeyama Tyuzaburo

河村和重
Kawamura Kazushige
日本能楽会会員

浦田保親
Urata Yasuchika
日本能楽会会員