<代替公演※8/28分井上定期能 8月公演

公演日時:2021/10/11(月・MON) 13:00~
主催:井上定期会
演目:
(能) 放生川      井上 裕久
(狂言)萩大名      茂山あきら
(能) 葵 上      橋本 光史
      梓之出
      空之祈
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500

演目解説

放生川 ほうじょうがわ
 鹿島の神職が従者を伴い都へ上り、石(いわ)清水(しみず)八幡宮に参詣すると、老人と若い男が現われ、放生会(ほうじょうえ)のいわれを述べ、水桶に入れて持っていた生きた魚を放生川へ放つ。続いて石清水の来歴を語り、男山へと登ってゆく。神職は里人を呼んで放生会の由来を尋ねる。やがて夜神楽の音とともに老体の武内(たけうぢ)の神(しん)が現われ、月影のもとで荘重な舞を奏で、和歌の道を寿ぐ。
 『申楽談(さるがくだん)儀(ぎ)』に「八幡放生会の能」の名で記されているものが本曲であるとされるが、現在では上演の機会が稀である能のひとつである。
 後シテは『真之序之(しんのじょの)舞(まい)』を荘重に舞う。冒頭に六ないし七句の真之序と称する部分が奏され、シテが拍子を踏み足づかいをするのが特徴である。『真之序之舞』が舞われる演目は他に、「老松」「白楽天」「雨月」がある。
 本曲は石清水八幡宮の神徳をたたえることを主題とするが、石清水は古来、賀茂・春日とともに三社とされ、八月十五日の放生会は朝廷の祭として重要視されたという。

葵上 あおいのうえ
 朱雀院の廷臣は、左大臣の息女葵上についた物の怪の霊を呼び寄せるために、照(てる)日(ひ)の巫女(みこ)に梓(あずさ)弓(ゆみ)にかけることを命ずる。やがて六条(ろくじょうの)御息所(みやすどころ)の生霊が現われ、葵上の病床の前で、人の世のはかなさ、我が身のつらさなど恨み言を述べ、さらに葵上への激しい怒りを示し立ち去る。葵上の病状はさらに悪化し、廷臣は従者に横川(よかわの)小聖(こひじり)を呼びに行かせる。小聖が葵上の病床で加持祈祷を行なうと、鬼女の姿となった六条御息所の生霊が現われるが、小聖に祈り責められ成仏する。
 葵上は役として登場せず、後見によって正面先に置かれる出(だし)小袖(こそで)が、病床の葵上を表わす。
 小書「梓之出」は、六条御息所が照日の巫女の梓弓の謡の内に引かれて現われる演出で、「空之祈」は、後場で六条御息所と横川小聖が争う「祈(いのり)」の中で、小聖が生霊を見失った状態で祈る場面が入る演出となる。