京都観世会9月例会
Monthly Performances (September)

公演日時:2021/09/26(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 張良        梅若  実
(狂言)萩大名       茂山忠三郎
(能) 野宮        浦田 保浩
(能) 安達原 白頭    味方  玄
入場料:
   前売券 一般   自由席   ¥6,000
   当日券 一般   自由席   ¥6,500
   学生券   2階 自由席   ¥3,000

    ***9月例会前売券について***
前売券(一般6,000円・学生2階自由席3,000円)は、8月1日より事務所・
電話・WEBにて、限定数での発売といたします。
なお年間普通会員・6回会員の方は、事前予約無しでご入場いただけます。
※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

演目解説

張 良 ちょうりょう
 漢の高祖の臣である張良は、ある晩ふしぎな夢を見た。それは張良が下邳というところにある土橋で馬に乗った老人にあったところ、その老翁が左の沓を落とし、それを取って履かせると、老翁は汝は誠意のある者であるから、今日から五日目にここで兵法を授けようと告げる夢であった。張良がその五日目の日に土橋に行ってみると、老翁はすでに来ていて張良が時刻に遅れたことをとがめ、さらに五日目の夜ふけに会うことを告げて姿を消してしまった。その五日後、張良は深更に出かけて待つと、馬に乗った黄石公が威風あたりを払う様子であらわれ、張良の人柄をほめたが、なおもその心をためそうとして、履いている沓を川に落とした。張良はそれを取ろうとしたが、流れが急で取ることがなかった。その時、波間に大蛇が現われて沓を取ったので、張良は剣を後いて大蛇に向かい、沓を奪って黄石公に履かせた。そこで石公は張良に兵法の秘伝を授けたが、その大蛇は、自分は観音の化身であるが、これからは汝の守護神となろうといって天にのぼり、黄石公ははるかの高山に登って姿を黄石に変えた。
 この曲はワキの役を主としていて、ワキ方では特別に重い習として扱っている。後段に、ワキが沓を拾おうとして急流に入り、流されて取りかねるところに流れ足の型があるが、これはワキ方の秘事であり、またこの一段は一曲の眼目である。なお、この沓は裂地で作ってあり、後見方がシテの左足もとから目付柱の方へ投げるが、これは後見方の秘事で重い習となっている。

野 宮 ののみや
 諸国一見の僧が嵯峨野宮を訪ねると、榊を手にした女が現れ、宮所を清める。僧の問いに答え、今日長月七日は、光源氏が六条御息所をこの野宮に訪うた日であると教える。また、先東宮妃である御息所が光源氏の愛を受け、そしてまた愛を失い、源氏への思いを絶つ為に、伊勢斎宮(未婚の皇女が伊勢神宮に仕える制度)に立つ娘と共に、その潔斎所である野宮に籠り、源氏の訪問を受け、やがて伊勢へ下ったことを委しく語る。そして自らは御息所と名宣り、夕暮の黒木の鳥居のもとに立ち隠れる。
                                  〈中入〉
所の者から御息所の謂れを更に聞いた僧が、夜もすがら跡を弔っていると、破れ車に乗った御息所の霊が現れ、車争いの様を再現し、妄執を晴らし給えと僧に頼む。そして昔を思い、月に袖を返し、源氏を野宮に待ち続けた様を追体験するが、また車に打ち乗って消えてゆく。
安達原 あだちがはら 白頭 しろがしら
 熊野の山伏・阿闍梨祐慶の一行は、回国行脚の途中、陸奥の安達が原にやってきた。日も暮れたので野中の一軒家に宿を求めると、女主人は一旦断るが、たっての願いに一行を招き入れる。祐慶が部屋の隅に置かれた見馴れない物に気づき訊ねると、女主人はこれは枠桛輪(糸つむぎの輪)といい、賎しい女の営む業であると答え、糸車を回しながら浅ましい身の上を嘆き、糸尽くしの歌を歌う。やがて女は焚火をしてもてなそうと、山へ薪を取りに出かけるが、留守に閨の中を決して見ないようにと言い残す。                                〈中入〉
 祐慶の従者が閨の内を覗くと、そこには沢山の死骸が山と積まれていた。さては話に聞いた黒塚の鬼の棲み家であったかと、一行はあわてて逃げ出す。そこへ女が鬼女となって現れ、約束を破ったことを恨み、食い殺そうと迫ってくる。祐慶達は五大尊明王に祈り、終に祈り伏せると、鬼女は凄まじい声を残して夜嵐とともに消え失せる。

出演者紹介
CAST

梅若  実
Umewaka Minoru
日本能楽会会員

茂山忠三郎
Shigeyama Tyuzaburo
日本能楽会会員

浦田 保浩
Urata Yasuhiro
日本能楽会会員

味方  玄
Mikata Shizuka
日本能楽会会員