京都観世会11月例会
Monthly Performances (November)

公演日時:2021/11/28(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 生田敦盛      𠮷田 篤史
(狂言)空 腕       小笠原由祠
(能) 三 輪       分林 道治
(能) 車 僧       河村 和晃
入場料:
   前売券 一般   自由席   ¥6,000
   当日券 一般   自由席   ¥6,500
   学生券   2階 自由席   ¥3,000

    ***11月例会前売券について***
前売券(一般6,000円・学生2階自由席3,000円)は、10月1日より事務所・
電話・WEBにて、限定数での発売といたします。
なお年間普通会員・6回会員の方は、事前予約無しでご入場いただけます。
※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

演目解説

生田敦盛 いくたあつもり
 黒谷の法然上人が賀茂へ参詣の帰途、下り松の下で美しい男の捨子を拾って帰り、養い育て、十余歳に成長したので、ある時、説法の後この事を話すと、聴衆の中から若い女が走り出て、自分はその子の母で、父は平敦盛であると告白した。その子は、父を恋い慕い、賀茂明神へ参詣して父との対面を祈ると、生田の森へ行けとの霊夢を蒙る。早速生田へ行き、暮れ方に、ある庵に宿を借りようとすると、その中から甲冑姿の敦盛の霊が現れる。敦盛は一の谷合戦の物語をし、親子の対面を喜び、舞を舞うが、そのうちに閻王から迎えの使いが来、修羅の敵も現れ、修羅道の苦患を受ける。やがて暁になり、修羅の敵も消え、敦盛の霊も回向を頼み、消え失せる。
三 輪 み わ
 三輪山の麓に隠棲する玄賓僧都の庵に、樒と閼伽の水を持って日参する女があった。秋のある日、女は「罪を助けてほしい」といって受法受戒の印に衣を所望する。玄賓は衣を与え、女に何処から来たかと問うと、「私の住処は三輪の山もと近くです。不審がおありなら杉立つ門を目印にお訪ね下さい」といい残して消える。
                               〈作り物に中入〉
 所の者が三輪明神の神木に衣が掛かっていると玄賓に報告し、例の女は明神の化身だろうというので、玄賓が社殿に参ると、確かに自分の与えた衣が杉に掛かっており、金色で「三つの輪は清く浄きぞ唐衣くると思ふな取ると思はじ」と歌が記されていた。そこへ浄罪を乞う神の声が聞こえ、女体の三輪明神が烏帽子狩衣姿で現れ、三輪に伝わる神婚説話を語り始める。――夜のみ通って姿を見せない夫を不審に思った妻が裳裾に糸を付けて跡を追って行くと、三輪山の杉の下枝に着いた。夫は神の化身だったのである。――明神は更に神代に遡り、天照大神の岩戸隠れを再現して神楽を舞うと、伊勢と三輪の神は一体分身であるといって夜明けと共に消え失せる。
車 僧 くるまぞう
 雪の嵯峨野に車を廻らしていた車僧の前に、山伏が現われ、禅問答をしかける。しかし車僧にすかされ、やり込められた山伏は、「我が住む方は愛宕山、太郎坊が庵室、御入りあれ」と言い捨て、黒雲に乗って消える。         〈中入〉
 溝越天狗が登場し、車僧を笑わそうとするが失敗。太郎坊にバトンを渡す。今度は天狗の本性を現わした太郎坊。様々に行の較べ争いをするが、終に車僧の法力に負けて退散する。
 車に乗って所々を廻る奇僧故に「車僧」と呼ばれる。車は輪廻の表象であることから、天狗は、「まだ輪の内に在りとこそ見れ」としかけるが、車僧は「乗りも得るべき輪(我)があらばこそ」とかわす。「わがあらばこそと言うは誰そ」と天狗が詰め寄れば、「空洞涼し」とはずし、やがて天狗があせりを見せ、車僧のペースに持ち込まれてしまう。絶妙の問答である。後段も常に「車」にスポットが当たる。魔道の代表者天狗と、仏道の代表者車僧と、同じ車でも、片や輪廻の輪であり、片や火宅の出車であり、迷いと悟りの争いは尽きることがない。人間の本質として内在する二面性の争いのようにも見えて興味深い。

出演者紹介
CAST

𠮷田 篤史
Yoshida Atsushi
日本能楽会会員

小笠原由祠
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

分林 道治
Wakebayashi Michiharu
日本能楽会会員

河村 和晃
Kawamura Kazuaki