井上定期能 6月公演

公演日時:2022/06/04(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説)         井上 裕久
(能) 弱法師      橋本擴三郎
      盲目之舞
(狂言)水掛聟      茂山 宗彦
(能) 杜 若      浦部 幸裕
      恋之舞
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500
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演目解説

弱法師 よろぼし
 河内国高安(かわちのくにたかやす)の里の左衛門尉通俊(さえもんのじょうみちとし)は、さる人の讒言(ざんげん)を信じ、一子俊徳丸(しゅんとくまる)を追放した。しかし、それが偽りであると知り、不憫(ふびん)に思い、彼の二世安楽を祈り天王寺で施行(せぎょう)を行う。そこへ、悲しみの余り盲目の乞食となり、弱法師とよばれている俊徳丸が杖をたよりにやって来る。折しも春の彼岸、彼は佛の慈悲をたたえ、天王寺建立の縁起を物語る。その姿を見た通俊は、我が子であると気付くが、人目をはばかり、夜を待って名乗ることにする。通俊が日想観(じっそうかん)を拝むよう促すと、弱法師は入日を拝み、かつて見慣れていた難波の景色を心に思い浮かべ、興奮の余り狂ずる。しかし、往来の人に行き当たって狂いから覚め、我が身を恥じる。やがて夜も更け、父が名乗りかけ、連れ立って高安へと帰ってゆく。
 「盲目之舞(もうもくのまい)」の小書(特殊演出)のときは、常の「イロエ」のところが「イロエ掛リ中之舞」となり、型も常と替わる。 また、シテのかける面「弱法師」は本曲専用面で、暗く愁いを秘めた表情をした盲目の少年面である。

杜 若 かきつばた
 諸国一見の旅僧が都から東国へ下り、三河国(みかわのくに)(愛知県)に着くと、沢辺に杜若が今を盛りと咲いている。眺めていると一人の女が現れ、ここは八橋(やつはし)という杜若の名所で、昔、在原業平(ありわらのなりひら)が東下りの際にここに立ち寄り、「かきつばた」の五文字を句の頭において「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」という歌を詠んだという故事を教える。その上僧を自分の庵に誘い、女は初冠(ういかむり)に唐衣(からころも)を着て現れ、業平の形見の冠と高子(たかこ)の后(きさき)の衣だと言い、驚いた僧に自分は杜若の精だと明かす。そして、業平は歌舞の菩薩の生まれ変わりであるので、その詠歌の功徳により、非情の草木も成仏したと告げる。さらに『伊勢物語』や業平について語り舞い、夜明けとともに消えてゆく。
 「恋之舞(こいのまい)」の小書(特殊演出)の節は、「序之舞」の中で橋掛へ行き水鏡に姿を映しなどする。また、本文の一部(クリ・サシ・クセ)を省く場合もある。