井上定期能 12月公演

公演日時:2022/12/03(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説)         井上 裕久
(能) 井 筒      𠮷田 潔司
      物著
(狂言)鳴子遣子     茂山七五三
(能) 葛 城      吉浪 壽晃
      大和舞
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500
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演目解説

井 筒 いづつ 物著 ものぎ
 諸国一見の僧が在原寺を訪れ、在原業平と紀有常の女夫婦の舊跡を弔っていると、一人の女性が現れ、井戸の水を汲み上げ古塚に手向ける。僧の問いに、それは業平の墓であることを告げ、伊勢物語の「風吹けば沖つ白波龍田山、夜半にや君が独り行くらん」の歌や、「筒井筒井筒にかけしまろが丈、生ひにけらしな妹見ざる間に」「比らべこし振分髪も肩過ぎぬ、君ならずして誰か上ぐべき」と詠みかわして業平と有常の女が夫婦となった話などをし、実は自分が有常の女であるとうち明けて、井筒の陰に隠れてしまう。その夜、僧の夢に、有常の女が業平の形見の冠直衣を着て現れ、業平を偲んで舞を舞い、姿を井戸の水に映して業平の面影を懐かしむ。やがて夜明けと共にその姿は消え、僧の夢も覚める。
 「物著」の小書(特殊演出)のときは、中入せず、後見座にて後の装束を身に着ける。

葛 城 かづらき 大和舞 やまとまい
 出羽国羽黒山の山伏が、大和国葛城山へと着く。降りしきる雪に困惑していると、一人の女が現れて庵に案内し宿を貸す。女が焚火をしてもてなすと、山伏はその好意に謝し、やがて後夜の勤行を始めようとする。すると女は、そのついでに加持祈祷をして、三熱の苦しみを助けてほしいと頼む。山伏が不審に思い尋ねると、女は葛城の神であるが、昔、役ノ行者に命ぜられた岩橋を架けなかった為、不動明王の索(さっく)に縛(しば)られ苦しんでいると言って消え失せる。山伏が夜もすがら祈祷をすると、葛城の神が現れ、三熱の苦しみを免れたことを喜び、大和舞を舞い、暁近くに岩戸の内へと姿を消す。
 前シテは雪綿を載せた笠をかぶり出る。「大和舞」の小書の節は、雪をいただいた山の作り物に白い引き回しをかけて大小前へ出す。これは雪山を表わし、シテはそこへ中入りする。後場の「序之舞」は「神楽」となり、白一色の降りしきる雪の中、女神は舞を舞う。前場後場ともに装束も常とは変わる。