京都観世会6月例会
Monthly Performances (June)

公演日時:2023/06/25(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 賀 茂        河村浩太郎
(狂言)苞山伏        小笠原由祠
(能) 楊貴妃 台留     橋本擴三郎
(能) 錦 木        分林 道治
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,000
一般前売自由席券          ¥6,000
一般当日券  (自由席)      ¥6,500
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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・・・・・・・・・例会会員入場券の年間会費・・・・・・・・・・
普通会員様と6回会員様は、会員券1枚につき2,000円の追加料金で
WEBにて事前指定が可能です。
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演目解説

賀 茂 か も
 播磨国室の明神に仕える神職が、室とご一体であるという都の賀茂明神へ参詣すると、そこへ水汲みの女性が二人現れる。川辺に新しく祭壇が築かれ、白木綿に白羽の矢を立ててあるのを不審に思った神職がその訳を尋ねると、女は「この御矢は当社の御神体とも御神物とも崇め申しているものだ」と答え、乞われるままにこの矢の謂われについて「昔、この賀茂の里に秦の氏女という人があり、朝夕この川辺に出て水を汲み神に手向けていると、ある時川上から白羽の矢が一つ流れ来て水桶に止まったのを、取って帰り家の軒に挿しておくと知らぬうちに妊娠して男の子を産んだ。矢は天に上り鳴神となり、この子は別雷神となり、そしてその母君も神となり、これを賀茂三所の神というのだ」と語る。女は洛中洛外の川の名所を挙げつつ水を汲み神に手向け、やがて自分は神であると言い捨てて神隠れしてしまった。     〈中入〉
 しばらくして女体の御祖神が現れ、つづいて別雷神も出現して雷鳴をとどろかして国土を守護する神威を示すのだった。
 脇能の一つではあるが、前シテが女性であることや、川辺の情趣など他の脇能にはない風情も味わえる曲である。

楊貴妃 ようきひ  台留    うてなどめ
 唐の玄宗皇帝に仕える方士は、勅命を受けて今は亡き楊貴妃の魂魄の行方を尋ね、常世の国の蓬莱宮へ赴く。太真殿で様子を窺っていると中から声が聞こえ、楊貴妃が姿を現す。方士は楊貴妃亡き後の皇帝の悲しみを伝え、ここへ来た証にと、形見の物を所望する。楊貴妃はかんざしを差し出すが、方士は珍しくない品よりも帝と交わした約束の言葉を教えてくれと頼む。楊貴妃は七夕の夜に、天にあっては比翼の鳥、地にあっては連理の枝になろうと誓ったことを告げる。更に楊貴妃は、自分は元は天上界の仙女であったが、仮に人間界の楊氏の下に生まれ、帝に召されて深い契りを交わした事を語り、思い出の霓裳羽衣の曲を舞い、かんざしを方士に与えて見送り、一人別れの涙に伏し留まるのだった。
錦 木 にしきぎ
 諸国一見の僧が陸奥の狭布の里に着くと、当地の名物である錦木と細布を売る、夫婦と思われる男女に出会う。僧がそれらの謂われを尋ねると、男は、思う女性の家の門に錦木を立てる風習を語る。そして女が錦木を取り入れなかったために、三年間も立て続けた男のことを述べ、その男の古墳である錦塚に僧を案内すると、二人は塚の中へと消えて行く。                        〈中入〉
 僧が二人の供養のために読経していると、男女の亡霊が現れ、三年間実らなかった恋の恨みを述べる。しかしながら懺悔を終えた男の亡霊は、「錦木は千束になりぬ、今こそは人に知られぬ閨の内見め」と言って喜びの舞を舞う。僧の回向によって執心を解脱した男は、今宵初めて女と盃を交わしたのだった。ただその喜びも所詮は夢の中のこと。いつしか夜が明けはじめると、亡霊たちの姿は野中の露と消え、風の音だけが残るのみであった。
 錦木伝説を中心に、さまざまな和歌を多用して作られた、美しくもはかない恋物語。一転、前述の「錦木は千束に……」の歌をきっかけに場面転換し、喜びの舞へと変わる構造がこの作者にしては、唐突である。陸奥人の心の素朴な美しさに、機を織る音や虫の音が相俟って、秋の野趣的な詩感を盛っている。

出演者紹介
CAST

河村浩太郎
Kawamura Kotaro

小笠原由祠
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

橋本擴三郎
Hashimoto Kozaburo
日本能楽会会員

分林 道治
Wakebayashi Michiharu
日本能楽会会員