京都観世会11月例会
Monthly Performances (November)

公演日時:2023/11/26(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能)  清 経        梅田 嘉宏
(狂言) 隠 狸        小笠原由祠
(能)  班 女        片山 伸吾
       笹之伝
(復曲能)名取ノ老女      大槻 文藏
入場料:
一般前売指定席券          ¥8,000
一般前売自由席券          ¥6,000
一般当日券  (自由席)      ¥6,500
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

      WEB予約・購入はこちら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
普通会員様と6回会員様は、会員券1枚につき2,000円の追加料金で
WEBにて事前指定が可能です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

演目解説

清 経 きよつね
 平清経の家来・淡津三郎が、清経が西国で入水自殺したという知らせと、残された清経の形見・黒髪を持ち、源平の戦の続くさなか、忍び忍びに都・清経の妻のもとへとやって来る。清経の妻は夫の無事を祈り、ひとり耐えて都で待っている。三郎は重い口を開き、清経入水を知らせる。妻は驚き絶望し、「討たれたなら、また病に倒れたというならばあきらめもつくけれど、自ら身を投げるとは」と、夫の裏切りに恨み言をつらねる。三郎は清経の形見の「鬢の髪」を妻に手渡す。見る程に辛くなる形見を、一首の歌と共に妻は手向け返す(気持ちの中で形見を受け取らず夫につき返したのである)。「見る度に心づくしのかみなればうさにぞ返す本の社に」。夢になりとも逢いたいものと涙ながらに眠る妻の夢枕に清経が現れる。まずは喜ぶ妻。しかしいつまでも添いとげると「契り」をかわしたのに自ら命を絶つのは約束やぶりだと妻は夫を責める。夫は形見を返したことを責める。清経は入水に至った経緯を語り始める。「世の中のうさには神もなきものを何祈るらん心づくしに」。宇佐八幡(戦の神)のお告げをうけ、仏神三宝も平家をお見捨てになったかと絶望し、ひとり入水したのだった。妻は聞くにたえず、あなたとの「契り」が恨めしいと嘆く。清経は「もう言うな、奈落(地獄)もこの世も同じだ」と断じ、その後、修羅道に堕ちたのだが、入水の際に唱えた十念(念仏)のおかげで仏果を得る(成仏する)ことができたといい、夫は妻の前から消えて行く。
 夫と妻の相容れない想いの違い、愛するがゆえの悲劇を『平家物語』の無常観の中に、抒情的に描いた名作。
班 女 はんじょ  笹之伝    ささのでん
 吉田少将は都より東国への途次、野上宿で遊女花子と馴れ親しみ、旅の復路に再び会うことを約束し、しるしに扇を交換して東へ下った。以来花子は他の客の座敷へも出ず、扇を眺めて陶然としている。宿の主はたびたび意見をするが従わないので、終に宿から追い出す。                    〈中入〉
 吉田少将は都へ上る途中、再び野上へ寄り花子を訪ねるが、もはや行方知れずとなっていた。そこで道を急ぎ京に帰り、男女の縁を結ぶことで名高い糺の森、下鴨神社に赴く。一方、花子は班女とあだ名され、狂女となって扇を抱いてさすらい、神々に少将との再会を祈誓している。糺の森で少将の従者と出会い、「班女の扇は」との問いに、恋しい人に打ち捨てられたことを秋の扇に例え、中国の故事をひいて恋の切なさをあらわす。やがて少将は花子の持つ扇に気付き、めでたく再会となる。

復曲能  名取ノ老女  なとりのろうじょ
 熊野三山の山伏が陸奥行脚の暇乞いのため本宮に通夜したところ、名取の里に住む老巫女に神託を届けよとの霊夢を蒙る。老女はかつて熊野に年詣でしていたが、今は年老いて詣でることができず、名取の地に熊野三山を勧請して祈りを捧げている者だった。山伏は名取の里で老女に対面を果たし、霊夢で授けられた虫食いのある梛の葉を渡す。そこには熊野の神詠「道遠し年もやうやう老いにけり思ひおこせよ我も忘れじ」とあり、あまりの有難さに老女は随喜の涙を流す。老女は孫娘とともに、勧請した熊野三山に山伏を案内し、「熊野の本地」を物語る。そして法楽の舞を始めると、熊野権現の使役神・護法善神が颯爽と現れて、老女を祝福、国土安穏を約束して去って行くのだった。
 古作能の規範「護法型」命名のもととなったこの能を、国立能楽堂が平成二十八年、東日本大震災発災五年を機に復曲初演した。復曲に際し、台本・演出から改めて見直しを行い、現代に生きる能として再生を図った。老女が山伏を案内する「名所教え」には閖上浜など名取の地名や景観が織り込まれており特有の味わいを持つ。


出演者紹介
CAST

梅田 嘉宏
Umeda Yoshihiro

小笠原由祠
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

片山 伸吾
Katayama Shingo
日本能楽会会員

大槻 文藏
Otsuki Bunzo
日本能楽会会員
重要無形文化財保持者
(各個認定/人間国宝)