京都観世会6月例会
Regular Performances (June)

公演日時:2024/06/23(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 雨 月        橋本 雅夫
(狂言)磁 石        茂山千五郎
(能) 夕 顔        杉浦 豊彦
(能) 項 羽        大江 信行
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,500
一般前売自由席券          ¥6,500
一般当日券  (自由席)      ¥7,000
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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普通会員様と6回会員様は、会員券1枚につき2,000円の追加料金で
WEBにて事前指定が可能です。
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演目解説

雨 月 うげつ
 西行法師が住吉へ参詣し、老人夫婦に宿を借りようとする。尉は時雨の音を楽しむ為に軒端を葺こうと言い、姥は板間に洩る月影を愛でるため、軒端を葺くまいと言う。即ち雨月の風雅な争いの心を「賤が軒端を葺きぞわづらふ」という歌の下の句にし、西行に上の句を所望する。西行は「月は洩れ雨はたまれととにかくに」と上の句をつけ、夫婦は歌に感じて招き入れる。折から時雨にまがう松風が吹き、住吉の叙景、月、雨を思う内、夜も更け、皆眠りにつく。         〈中入〉
 末社の神が現れ、先の老人は住吉明神の化身と教える。やがて宮人に乗り憑った明神が現れ、神徳を述べ、西行を賞め、和歌を讃えて舞を奏でる。そして神は上り、宮人は本性に還る。
 世阿弥の『蟻通』を下敷きにして、禅竹が、更に風雅に、更に舞歌の抽象性を取り入れて作った曲であろうと考えられる。元は金春系の曲で、江戸中期(観世元章時代)に観世のレパートリーに入れられた。現在観世では、後シテは、「真ノ序之舞」を舞うか「立廻リ」を働くかの二様ある。前者は住吉明神を主体とした、金春以来の古態であり、後者は宮人を主体とした、元章以後の、近世的、江戸時代的演出である。宮人に憑いた神が舞うか、神が憑いた宮人が働くか、中世と近世の感性の違いが問われるところである。

夕 顔 ゆうがお
 豊後国(現大分県)の僧が都に上り、仏閣を廻っている。ある日五条辺りに来ると、破屋より歌を吟ずる女の声が聞こえる。女は紫式部の昔を思い、恋の妄執に悩む風情である。僧が所の名を尋ねると、女は、ここを紫式部は何某の院とのみ記したが、かつては源融の河原の院であり、後には光源氏に伴われた夕顔の上が、物怪に憑かれて命を落とした所であると答える。そして『源氏物語』、殊に「夕顔の巻」について詳しく語り、夕顔が息消えた有様を再現し、その夕顔が夢に現れあなたに語っているのだと言って消え失せる。                   〈中入〉
 所の人から源氏と夕顔のことを詳しく聞いた僧が、法華経をもって弔うと、ありし日の夕顔が現れる。夕顔は物怪に憑かれ命を失った身の弔いをなお僧に頼み、陰惨な風景と心象を見せるが、僧の弔いによって魂を救われたことを喜び、法の道に往くと見えて明方の雲に消えていった。
項 羽 こうう
 中国、烏江の野辺。草刈男たちが家路につくため川辺で船を待つ。老人が上流から船を操ってやって来るので便船を乞う。老人が船賃がなければ乗せられぬ由言うと、草刈男は払った事がないと言う。老人は「道理を言ったまで」と便船を許し、草刈男の持つ、しっとりと露の置いた秋草を気に留める。秋風に吹かれ、やがて船が向う岸に到着すると、老人はあらためて船賃を所望する。先に見付けた草花の一本が欲しいのだ。草刈男は刈ってきた草花をさし出すと、老人は迷わず赤い花を一本抜き持つ。その理由を問うと、この花は楚の項羽の妃・虞(ぐ)氏(し)を葬った塚から生えた美人草だと答える。また問われるままに、項羽は漢の高祖に七十余度勝ったが、味方の兵の裏切りにより四面に楚歌を聞く事になり、妃・虞氏は堪えかね高楼から身を投げ、項羽も自害し果てた事を語る。そして自分こそ項羽の幽霊だと明かし、回向を頼み消え失せる。                            〈中入〉
 やがて草刈男の夢に項羽と虞氏が現れ、四面楚歌の中、虞氏の最期、項羽の憤怒の戦い、自刃を再現してみせるのだった。
 《項羽》は別名《美人草》と言う。項羽にとって虞美人への想いは深く、殺伐としたシーンで結ばれる能にうるおいを感じさせる。

出演者紹介
CAST

橋本 雅夫
Hashimoto Masao
日本能楽会会員

茂山千五郎
Shigeyama Sengoro
日本能楽会会員

杉浦 豊彦
Sugiura Toyohiko
日本能楽会会員

大江 信行
Oe Nobuyuki
日本能楽会会員