井上定期能8月公演

公演日時:2024/08/17(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説)        井上 裕久
(能) 半 蔀     橋本 雅夫
(狂言)薩摩守     茂山千之丞
(能) 葵 上     井上裕之真
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500
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演目解説

半 蔀 はじとみ
 都、紫野雲林院の僧が、夏の修行も終わり近くなったので、その期間仏に供えた花々の供養を行う。するとどこからともなく一人の女が現れて花を捧げる。僧が名をたずねると、ただ夕顔の花とだけ答え、名を明かさない。僧が更に問うと、五条あたりの者とだけ告げ、花の陰に消え失せる。不思議に思った僧が五条あたりへ弔いに行くと、荒れ果てた一軒家に、夕顔の花が咲いており、半蔀を押し上げて一人の女性が現れる。女は、光源氏と夕顔の花の縁を物語って舞を舞い、夜明けを告げる鐘と共に僧に別れを告げ、半蔀の中へと消えてゆく。
 後場、半蔀屋の作り物を常座(演出によっては一ノ松)に出す。後シテは半蔀戸を押し上げて姿を現わし、最後にふたたび作り物へ入って留める。本曲は、主役が夕顔の上か夕顔の花の精か、いずれとも判然としないところに特色を持つ。夕方に白い花を咲かせる夕顔、そのほのかなはかなさを描きつつ、『源氏物語』夕顔の巻を巧みに取り入れて、恋の喜びを描いた愛くるしい作品である。

葵 上 あおいのうえ
 左大臣の息女、光源氏の正妻葵上が、物怪に悩まされ床に伏している。加持祈祷、さまざまな医療をほどこすもいっこうに効き目がなく、照日ノ巫女に命じて怨霊の正体を占わせる。すると、梓の弓の音にひかれて、源氏の愛人であった六条御息所の生霊が破れ車に乗って現れる。六条御息所は、源氏の愛を失った恨みを述べ、葵上を責め、幽界へ連れ去ろうとする。葵上のただならぬ様子に、比叡山横川の小聖が呼び出され、祈祷が始まる。そこへ、六条御息所が鬼女の姿で再び現れ、行者と激しく争うが、ついに祈り伏せられ、心をやわらげ成仏する。
 曲名となっている葵上は、役としては登場せず、病で伏している態で、舞台正面先に置かれた出小袖によって象徴される。