京都観世会1月例会
Regular Performances (January)

公演日時:2025/01/12(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(能) 翁        片山九郎右衛門
(能) 白 鬚        浦田 保浩
(狂言)末広かり       小笠原由祠
(能) 梅          観世 清和
     彩色之伝
(能) 金 札        井上裕之真
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,500
一般前売自由席券          ¥6,500
一般当日券  (自由席)      ¥7,000
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

      WEB予約・購入はこちら



   ◆例会会員入場券の年間会費◆
特別会員年間会費(会員券10枚)  ¥80,000
普通会員年間会費(会員券10枚)  ¥48,000
6回会員年間会費(会員券6枚)  ¥33,000

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
普通会員様と6回会員様はWEBにて事前指定が可能です。(別途料金必要)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


演目解説

おきな
 数ある曲の中で別格とされる『翁』は、能が芸能として整う以前の祖型であり、新年を言祝ぐに最も相応しい神事である。舞台に第一に登場するのは神体の翁面を運ぶ面箱持、それから直面の翁大夫、千歳、三番叟、以下諸役が続く。  〈翁ワタリ〉
 翁大夫は正先に出て深々と一礼し、笛座前に座し、面箱が前に置かれると「とうとうたらり……」と謡い出す。露払役の千歳が颯爽とした「千歳ノ舞」を舞う間に白式尉の面を着けた翁大夫は「坐して居たれども」と謡い、大小前に立って「天拝」「地拝」をし、祝祷の謡の後に荘重な「翁ノ舞」を舞い始める。三節の各終りに「天・地・人」の足拍子を踏み、舞台を一巡すると再び「萬歳楽」と天拝して舞い納める。面を外して面箱に置き、一礼して大夫は千歳と共に幕入りする。  〈翁ガエリ〉
 続いて狂言方の三番叟が走り出て、まず直面で力強い「揉ノ段」を舞う。その後、後見座で黒式尉の面を着けると、面箱持との問答を経て鈴を受け取り、「鈴ノ段」になる。呪術的な舞は最高潮に達したところで終止符が打たれ、舞台は元の張り詰めた静寂に包まれる。面を外した三番叟と面箱持、後見、脇鼓が退場し、地謡が後座から地謡座へ移動し、次の脇能が始まる。

白 鬚 しらひげ
 勅命をうけた臣下が、琵琶湖畔の白鬚神社に参詣すると、釣りから帰る漁翁と若者に会う。漁翁は、むかし釈迦が日本に渡った折、志賀の浦で釣りをする老人に比叡山を仏法修行の清浄地として所望したところ、老人には自分が釣りをするところがなくなると言って断られるが、そのとき現れた薬師如来に比叡山を開いて仏法をひろめることをすすめられたのだ、という話をする。その折の老人が白鬚の神であると語り、自分はその明神であると言い、社壇に入ってゆく。          〈中入〉
 やがて末社の神が現れめでたく舞を舞う。続いて社殿の扉が開いて白鬚明神が出現し、舞楽を奏して勅使を慰めると、そこへ天女は天灯をもち龍神は龍灯をささげて現れ、山河草木の輝くなかで相舞を舞い、奇特を示す。

うめ  彩色之伝  さいしきのでん
 京都五条に住む藤原の何某が難波へ行き、その春の景色の面白さに、『萬葉集』にある「桜花今盛りなり難波の海おし照る宮に聞し召すなへ」という大伴家持の歌を吟じていると、一人の里女が現れ、今の歌を本当の通りに吟じないのかと咎める。この歌は、家持の卿がまだ兵部小輔であった頃、公務でこの地へお出でになったとき、二月十三日にお詠みになったもので、三月三日には「含めりし花の初めに来し我や散りなん後に都へ行かん」とお詠みになっておられるのだから、あの二月十三日は梅の花の盛りである筈で、その上「おし照る宮に聞し召すなへ」とは、仁徳天皇が御位におつきになったことを申しあげたもので、その即位のとき、王仁が「難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花」(『古今集』序)と梅によそえてお祝いしているのだから、桜の歌である筈がない、梅の盛りが即ち花の盛りであると語る。花といえば桜を限っていうものだと言い伝えているが、それは古い例にあることではないと言って、女はやがて、この朧月夜に真の姿を現そうと言い残し梅の陰に姿を消す。
                                〈中入〉
 月夜、藤原の何某が木陰に假寝していると、梅の精が現れて、「梅」という名は、この花が美しいばかりでなく、薬となる実を結び、木の肌も美しく、木立まで他の木より勝れているので、うま(賞美する詞)という語に通わせて、うめという名を与えられたことなど、梅についての故事を語り、千代萬代限りなく栄えるようにと謡い舞って見せ、御代の長久を祝う。

金 札 きんさつ
 桓武天皇の臣下が、伏見の里に社殿造営の勅命を受け当所に着くと、天照大神の使者である天太玉命が弓矢を持って来現する。そして荒ぶる神々を鎮め、悪魔を弓矢で射払い、清めをなして神威を表す。やがて世が治まった証しに、弓絃を外し、剣を納め、平安を寿ぐ。
 観阿弥作曲の「伏見」の詞章を引いて作られた曲で、元は前段があり、金札が降り下る場面も描かれていたが、観世流では「岩船」と同じく後段だけにし、祝言の専用曲となった。

出演者紹介
CAST

片山九郎右衛門
Katayama Kuroemon
日本能楽会会員

浦田 保浩
Urata Yasuhiro
日本能楽会会員

小笠原由祠
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

観世 清和
Kanze Kiyokazu
日本能楽会会員

井上裕之真
Inoue Hironoshin