井上定期会設立100年
井上定期能 4月公演

公演日時:2025/04/26(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
      ご挨拶          井上 裕久
    (素謡)神 歌      井上 裕久
    (能) 老 松      橋本 雅夫
    (狂言)土 筆      茂山七五三
    (能) 張 良      井上 裕久
入場料:
    前売券   ¥3,800
    当日券   ¥4,500
    学生券   ¥2,000
    五枚綴券  ¥17,500
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演目解説

神歌 かみうた
 能の謡部分を囃子や狂言をいれずに、紋付・袴にて正座して謡う演出を「素謡(すうたい)」と言い、能「翁(おきな)」を素謡で演じる節には「神歌」と称する。
 「翁は能にして能にあらず」といわれ、他の曲とは別格に扱われ、神聖視される。それは、演劇としての能というより、天下泰平(てんかたいへい)、国土安穏(こくどあんのん)、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る儀式であり、まさに神事である。
 井上定期会設立百周年に当たる本年、当主による「神歌」から千秋万歳(せんしゅうばんぜい)を祈る。

老松 おいまつ
 所は九州筑紫の安楽寺。老松の精が松と梅のめでたさをたたえ、静かな舞を舞う。
 都に住む梅津何某(うめづのなにがし)〈江崎欽次朗〉は、従者を伴い、霊夢を頼りに梅薫る早春の筑紫・安楽寺を訪れる。そこへ老人〈橋本雅夫〉と若い男〈橋本充基〉が現われ、梅津の問いに紅梅殿(こうばいどの)と老松のめでたい謂われをもの語り立ち去る。続いて安楽寺門前の者〈島田洋海〉が、一行の求めに応じて、飛梅(とびうめ)と老松について語って聞かせる。やがて静かな夜ふけに、老松の精〈橋本雅夫〉が現われて舞を奏でてめでたい春をことほぐ。
 後シテの老松の精は老神の姿で登場し、「いかに紅梅殿・・・」と呼びかける設定から、当初は後場に紅梅殿(後ツレ)が登場して舞を舞う演出が行なわれていたと考えられるが、現代その演出は、小書(特殊演出)『紅梅殿』として定着している。なお本曲は、菅原道真(すがわらのみちざね)の飛梅伝説を扱いながら、道真その人についてはほとんど触れていない。

土筆 つくづくし
 春の河原に出掛けた二人の男〈茂山七五三〉〈茂山宗彦〉は土筆~つくし~を見付け歌争いをしますが・・・
張良 ちょうりょう
 漢の臣下、張良が黄石公(こうせきこう)の課す試練に立ち向かい、石公から兵法の伝授を受ける。
 張良〈有松遼一〉が夢の中で馬上の老人に沓(くつ)を履かせ、老人は五日後の再会と兵法伝授を約束する。約束の日に張良が指定の場所へ行くと、既に来ていた老人〈井上裕久〉は張良の遅参を怒り、さらに五日後を約して立ち去る。
 約束の日、張良が夜ふけから待つところへ、馬に鞭打ちつつ黄石公〈井上裕久〉が現われ、いま一度張良の心を試すべく、履いた沓を川に落とす。張良は川に飛び込み急流にもまれながら沓を追う。そこへ龍神〈井上裕之真〉が現われ沓を拾うが、張良が剱を抜いて迫ると、龍神は沓を差し出し、張良は沓を石公に履かせ、兵法を伝える巻物を授かる。
 『前漢書』『史記』などによるものと考えられ、本曲の主役はワキ張良であり、ワキ方において特に重く扱われている演目である。