京都観世会5月例会
Regular Performances (May)

公演日時:2025/05/25(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
  (能) 高野物狂       井上 裕久
  (狂言)鈍根草        小笠原由祠
  (能) 花 筐        分林 道治
        筐之伝
  (能) 善 界        味方  團
        黒頭
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,500
一般前売自由席券          ¥6,500
一般当日券  (自由席)      ¥7,000
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

      WEB予約・購入はこちら



   ◆例会会員入場券の年間会費◆
特別会員年間会費(会員券10枚)  ¥80,000
普通会員年間会費(会員券10枚)  ¥48,000
6回会員年間会費(会員券6枚)  ¥33,000

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
普通会員様と6回会員様はWEBにて事前指定が可能です。(別途料金必要)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


演目解説

高野物狂 こうやものぐるい
 常陸国の平松殿が亡くなり、家臣の高師四郎が平松の子の春満を撫育していた。主君の忌日に菩提寺に詣でる四郎に、家人が春満の置き手紙を届けに来る。そこには春満の出家の覚悟が記されていた。四郎はともかくも若君の後を追い、常陸の国を後にする。                             〈中入〉
 場面は紀州、高野山に変わる。高野山の僧が、近ごろ師弟の契約をした春満を伴って、三鈷の松へと出掛けた。そこへ物狂となった高師四郎が文竹を肩に、幼い主君を訪ねてやって来る。僧は、物狂はこの高野の山内には入れぬと制した。四郎は弘法大師の例を引いて、僧と問答をはじめ、そして高野の縁起を語る。また静謐な高野の内に声明の声に触れることの境地を語り、舞い狂った。やがて主従は再会し、春満は家を継ぐべく、山をおりる。
 流派によって、詞章や演出の違いが多く見られる曲である。例えば観世流では、僧形の子方を稚児姿とし、世阿弥の原作では幼い主君に従って、四郎も元結を切って仏門に入るところを、高師の説得のもとに家を継ぐことになっている。

花 筐 はながたみ  筐之伝   かたみのでん
 味真野の男大迹の皇子に愛されていた照日のもとへ、皇子よりの使いが立つ。即位のため、にわかの上洛、別れに玉章(文)と花の形見を残し置くという。照日は文を読み、形見を抱いて里へ帰る。                   <中入>
 皇子は継体天皇となる。秋の紅葉の御幸の道に、狂女が現れる。帝を慕い、狂い上った照日である。官人に打ち落とされた花筐をまた抱き上げ、狂女が狂い舞う。またわが身を李夫人に譬え、漢王の別れの悲しさを語り、恋慕の深さを訴える。やがて天皇は、狂女の花筐を見て照日と気づき、再び仕えることを許して還幸となる。
 帝をひたすら恋い慕う照日の想いが美しい。武烈王朝の崩壊と、新興の継体王朝の成立は、古代史上の重要な画期である。能はこのような歴史的事件を、一人の女性の恋慕を通して描く。

善 界 ぜがい 黒頭 くろがしら
 唐土の天狗の首領善界坊は、すでに本国では慢心の者達を天狗の道に誘いこんでしまったので、次は日本の仏法を妨げようと考え、山伏姿となって愛宕山の太郎坊という天狗を尋ねる。太郎坊は善界坊の魂胆を聞き、同意して、まず比叡山の様子をうかがうことにする。しかし不動明王は悪魔を祓う威力を持っているので不安にもなるが、二人の天狗は比叡山へと出かけて行く。            〈中入〉
 比叡山飯室の僧正が従僧をつれて車で都へ急いでいると、急に大風が吹き、雷鳴が轟く。驚いているところへ善界坊が天狗の姿で出現し、僧正に言葉をかけ、邪法を唱えながら車の長柄をつかんで僧正を魔道に誘引しようとする。僧正が不動明王に祈ると、不動明王が二童子や十二天を従えて現われた上、山王権現をはじめ男山、松尾の神々が現われて神風によって善界坊は吹きはらわれ、力尽きて今後は日本には来ないという声だけを残して雲の中へ消えて行くのであった。

出演者紹介
CAST

井上 裕久
Inoue Hirohisa
日本能楽会会員

小笠原由祠
Ogasawara Tadashi
日本能楽会会員

分林 道治
Wakebayashi Michiharu
日本能楽会会員

味方  團
Mikata Madoka
日本能楽会会員