公演日時:2025/07/13(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(素謡)賀 茂 林喜右衛門
(素謡)雲林院 古橋 正邦
(素謡)大原御幸 観世 清和
(素謡)鵜 飼 浦部 幸裕
入場料:
一般前売 ¥4,500
一般当日 ¥5,000
学 生 ¥2,500
※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。
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演目解説
賀茂
初夏の京都が舞台。播磨国の室の明神に仕える神職が、室とご一体であるという賀茂明神へ参詣します。神職は川辺に新しく祭壇が築かれ、白木綿に白羽の矢が立ててあるのを不思議に思い、ちょうどそこへ現れた水汲みの女性二人に訳を尋ねると、「この御矢は当社の御神体とも御神物とも崇め申しているもの」と答えます。ある時、流れてきた白羽の矢を持ち帰り家の軒先に挿すと、知らぬうちに子を授かり男子を産み、矢は天に上り鳴神に、この子は別雷神に、その母君も神となったのだと、賀茂三社の縁起を語ります。女は洛中洛外の川の名所を挙げつつ水を汲み神に手向け、やがて自分は神であると言い神隠れします。やがて女体の御祖神(みおやのしん)、つづいて別雷神(わけいかづち)が出現し、雷鳴をとどろかせ国土を守護する神威を示すのでした。金春禅竹作。
雲林院
幼い頃から「伊勢物語」を愛読する芦屋の里の公光(きんみつ)は、夢の告げにより桜の花の咲き乱れる都へ向い、紫野の雲林院に着きます。公光が桜の一枝を折ると、風流で小うるさい老翁が現れてそれを咎め、二人は互いに桜を詠んだ古歌を引いて、花折る行為の善悪を言い争います。公光が「伊勢物語」を持った業平と二条の后が雲林院に佇む姿を夢で見、そして都へ来た由を語ると、老翁は「伊勢物語の秘事を授けよう、花の陰で霊験を待て」と自らが業平の霊であると明かし夕霞の中に消え失せます。やがて現れた業平の霊は、二条の后との恋を物語り、昔日を懐かしみ、春の夜の月下に夜遊の舞を舞い、夜もすがら「昔男のいにしへ」を語り聞かせます。そのうち業平の姿も消え、公光の夢も覚めるのでした。
大原御幸
臣下により、後白河法皇の大原への御幸が告げられます。大原では、建礼門院が阿波内侍、大納言局と共に寂光院に籠り、我が子安徳天皇、母二位尼、平家の一門の菩提を弔っています。仏への供物を採りに、大納言局を伴い山へ分け入ったその留守に、法皇が訪ねられます。山より帰った女院は御幸を知り、閻浮(えんぶ)の世に引き戻される苦しさに耐えながらも法皇に対面します。六道の苦しみそのままであった平家滅亡の有様、さらに安徳帝の最期までその母である女院に語らせる法皇。我が子を追って入水するも、源氏の武士に引き上げられ命ながらえた苦しさに、女院は涙を止めることができません。やがて還幸となり、法皇を見送る女院。戦で我が子も母も、愛するすべてを失った一人の女性の悲しみと苦悩は、この寂光院に永遠に留まるのでした。
鵜飼
夏の甲斐国(山梨)が舞台。旅の僧が宿を求め川沿いの御堂に泊まります。そこに鵜を休めるためにやって来た鵜使いの老人に、僧は殺生戒を説きますが、二、三年前に川下の岩落という地で逢った鵜使いにもてなしを受けたことを思い出します。老人は、その鵜使いは禁漁区での密猟のために捕らえられ、ふしづけ(す巻き)にされて死んだことを語り、実は自分がその鵜使いの幽霊であると明かします。その事を聞いた僧は弔いを申し出、幽霊は罪障懺悔に鵜飼の様子を見せて闇に消えます。僧が法華経で弔っているところへ閻魔大王が現れ、無間地獄に堕とすべき鵜使いだが、僧の回向と、かつての一僧一宿の功力によって救われ、極楽へ送ることになったと告げるのです。榎並左衛門五郎原作、世阿弥改作。