公演日時:2025/07/19(土・SAT) 12:45~
主催:井上定期会
演目:
(解説) 井上 裕久
(能) 高 砂 井上裕之真
(狂言)胸 突 茂山忠三郎
(能) 俊 寛 橋本 光史
入場料:
前売券 ¥3,800
当日券 ¥4,500
学生券 ¥2,000
五枚綴券 ¥17,500
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演目解説
高砂
阿蘇の宮の神主・友成が従者を伴い都へ上る途中、播州高砂へ着く。友成が、里人の尉と姥に高砂・住吉の松の謂われを尋ねると、尉は住吉、姥は高砂の者であると言う。不審に思う友成は、さらに松のめでたさと和歌の徳について、その由来を聞く。住吉で待つと言い残して老人夫婦の去った後、友成は浦人に高砂・住吉の松および明神のことを尋ね、浦人の舟で住吉へ向かう。すると住吉明神が現われ、爽快に舞を奏でる。
古来「脇能の最上」「本の脇能」などと重要視され、現在でも「弓八幡」とともに真の脇能として扱われる。また、随所に祝言の言葉が謡いこまれており、婚礼などの際に謡われる小謡には、本曲の「四海波静かにて・・」や、その他の部分が用いられる。待謡の「高砂やこの浦舟に帆を上げて・・」や、キリの「千秋楽は民を撫で・・」は有名である。
俊寛
平家討伐の陰謀が露見して、俊寛僧都、平判官康頼、丹波少将成経の三人は、九州薩摩潟の鬼界ヶ島に流された。その後、中宮徳子(後の建礼門院)御安産の御祈祷のため大赦が行われ、康頼、成経の二人は許されることとなり、その赦免使が都を出発する。島では康頼と成経が、勧請した熊野三社に参詣している。俊寛は二人の帰りを待ち受け、水桶の水を酒とみなして酌を交わし、互いに昔を思い起こし、現在の境遇を嘆き合う。そこへ都からの赦免使が到着し、俊寛は使者の差し出す赦免状を康頼に読ませる。自分の名がないことにいぶかる俊寛は、みずから赦免状を手に取るが、やはり俊寛という名は無く、筆者の誤りかと疑う。しかし使者から、自分だけが許されていないという事実を知らされ、同じ罪であるのにと悲嘆にくれる。やがて船が出る頃となり、二人は乗船しようとする。俊寛は康頼の袂を取って船出を止め、せめて向いの地までと嘆願するが聞き入れられず、ついには纜にすがりついて必死に船を引き留めるが、使者はそれを振り切って船を出し、俊寛の嘆きを残して船影は消えてゆく。
本曲は、流人の悲しさ、華やかな往時の回想、赦免の喜び、一人許されないことの驚きと未来への恐怖、絶望、まさに劇的な能と言える。シテがつける面も、「俊寛」というこの曲専用の面である。