京都観世会8月例会
Regular Performances (August)

公演日時:2025/08/24(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
  (能) 盛 久        杉浦 豊彦
        恐之舞
  (狂言)舎 弟        茂山千之丞
  (能) 六 浦        片山 伸吾
  (能) 大 会        河村浩太郎
入場料:
一般前売指定席券※WEB        ¥8,500
一般前売自由席券          ¥6,500
一般当日券  (自由席)      ¥7,000
学生券    (2階自由席のみ)   ¥3,000

※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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普通会員様と6回会員様はWEBにて事前指定が可能です。(別途料金必要)
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演目解説

盛 久 もりひさ  恐之舞   かしこみのまい
 源氏に生け捕られて鎌倉へ護送されることになった平家の侍主馬の判官盛久は、土屋三郎の許しを得、信仰する清水観音に別れの参拝をし、輿に乗せられ東海道を下る。逢坂山を越え、瀬田の橋を渡り、老(おい)蘇(そ)の森、熱田の浦を過ぎ、「命なりけり」と歌に詠まれた小夜の中山、「変わる淵瀬」といわれる大井川を過ぎ、富士山の雪をおがみ箱根を越え、はるばる鎌倉に着いた。土屋から明日までの命と知らされた盛久は、土屋にこれまでの厚情を謝し、心静かに観音経を読誦する。土屋も聴聞し共に経文の功徳を讃える。盛久は少しまどろむうち夢の中で不思議な告げを受ける。朝になり由比ケ浜に引き出された盛久は、経を手に最後の座に着くが、太刀をふり上げた太刀取りの目が、経の霊光にくらみ、落した太刀は二つに折れた。頼朝はこれを聞き盛久を召し出し、夢の告げについて尋ねると、両者は同じ夢を見ていたと分る。その夢は、現れた老僧が、都の清水から汝のためにやってきた者だが安心せよ、と告げたというのであった。この奇跡の故に頼朝は盛久を許し、盃を与え舞を所望し、盛久はめでたく退出する。
 『平家物語』にある盛久処刑の時の奇跡を題材に、海道下りの叙景描写、経の読誦、奇跡の処刑場面、男舞、を通して、死に臨んだ鎌倉武士の男気を描く。

六 浦 むつら
 能には、草木の精を主人公にした作品がいくつかあるが、これもその一つで、藤原為相(ためすけ)の和歌「いかにしてこの一本にしぐれけん山に先だつ庭のもみぢ葉」を題材にして脚色されたものである。
 都の僧が東国行脚に出、相模国(神奈川県)六浦の称名寺に立ち寄ると、折しも秋のこととて山々の木々が、今を盛りと紅葉しているのに、一本の楓だけが少しも色づいていないので、不審をいだく。すると、一人の里の女が来て、昔、藤原(冷泉)為相がこの寺に来たとき、この木だけが色深く紅葉していたので、その楓をたたえて一首の歌を詠んだ。その木は感動して、「功成り名とげて身退くは天の道」と、以後ときわ木になったのだ、と語り、自分は、その楓の精であると告げて消え失せた。
                                 〈中入〉
 その夜、僧が読経していると、楓の精が現われ、四季折々の草木が、それぞれ時を得て様々に咲き競う様を語りつつ舞を舞うが、やがて夜が明けるとともに消えてゆくのだった。

大 会 だいえ
 天狗が鳶に化けて都の空を飛んでいたが、東北院のあたりで蜘蛛の巣にかかり落下する。居合わせた京童に捕まり、命を落とそうとしたその時、比叡山の僧が通りかかり、数珠と交換に鳶を受け取り、命を助けた。能はこの後の場面から始まる。比叡山の僧の庵に山伏姿の天狗が現われ、命を助けられた礼に何事でも望みを叶えようと言う。僧は霊鷲山での釈迦の説法の有様を目の当たりに拝むことを望む。天狗は容易なことではあるが、信心をおこして尊いと思われると困ると念をおして消え失せる。
                                  〈中入〉
 僧が目を開くと、音楽が聞こえ、比叡山は霊鷲山となり、釈迦が多くの菩薩に囲まれて獅子の座に座って説法をしている。僧正は大会の有様が目前に広がっているのを見て、天狗との約束を忘れ、思わず信心をおこして一心に拝んでしまう。するとにわかに帝釈天が現われ、外道の天狗が僧をたぶらかすと懲らしめ、天狗はさんざんの体で深谷の岩洞に帰って行った。

出演者紹介
CAST

杉浦 豊彦
Sugiura Toyohiko
日本能楽会会員

茂山千之丞
Shigeyama Sennojo

片山 伸吾
Katayama Shingo
日本能楽会会員

河村浩太郎
Kawamura Kotaro