春の素謡と仕舞の会

公演日時:2026/03/08(日・SUN) 11:00~
主催:京都観世会
演目:
(素謡)高 砂       田茂井廣道
(素謡)忠 度       越賀 隆之
(素謡)弱法師       片山九郎右衛門
(素謡)鉢 木       浦田 保浩
入場料:
    一般前売   ¥4,500
    一般当日   ¥5,000
    春・夏通し券 ¥8,000(前売のみ)
    学  生   ¥2,500

    ※通信講座受講生、放送大学、老人大学は一般料金です。

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演目解説

高砂 たかさご
 早春の高砂(前場)、住吉(後場)が舞台。世阿弥作。
 九州の阿蘇の神主・友成が京に上る途中、播州高砂の浦に立ち寄ります。そこで出会った老人夫婦に高砂住吉相生の松の謂われを尋ねます。老人は高砂を『万葉集』の時代に例え、住吉を『古今集』の時代に例え、時代を経ても変わらぬ松の葉を、言の葉とかけ、松葉の繁栄こそが言葉の繁栄と説き、和歌の繁栄が平和の象徴であることを教えます。松の功徳を語るうち、老夫婦は実は相生の松の精であると明かし、先に住吉に行きお待ちしようと言って舟に乗って沖へ出て行ってしまいます。友成も急いで舟で住吉へ着くと、和歌の神・住吉明神が現れて、神威を顕し泰平の御世を祝福するのでした。

忠度 ただのり
 春の須磨浦が舞台。作者の世阿弥が「上花」と高く評価した作品です。平忠度の和歌の師匠・藤原俊成に仕えていた者が出家し、西国行脚の途中の須磨浦にやって来ます。そこで、ある桜の木に花を手向ける尉に出会います。尉に宿を頼むと、この花の下にまさる宿はあるまいと言い、「行き暮れてこの下蔭を宿とせば花や今宵の主ならまし」と詠んだ薩摩守・忠度がここに眠っているのだと語り、僧に回向を頼みます。やがて尉は忠度の霊であることを暗示して姿を消します。回向する僧のもとへ忠度が在りし日の姿で現れ、西国への都落ちの途中、俊成のもとへ立ち帰って後日の勅撰集への和歌を託したこと、一ノ谷の合戦で討たれたこと等を語り、桜の花の蔭に消えてゆきます。
弱法師 よろぼし
 春の彼岸、摂津国の天王寺が舞台。作者は世阿弥の子・観世十郎元雅(ただし曲舞部分は世阿弥作)。かつて人の讒言を信じてわが子・俊徳丸を追放してしまった河内国の高安通俊は、わが子を不憫に思い、現世と来世の安楽を祈るため天王寺で七日間の施行をし、今日が満願の日。そこへやって来た盲目の青年・弱法師は、袖に梅の花が散りかかると仏の慈悲と感謝し、天王寺縁起を語ります。彼がわが子であると気づいた通俊は、夜になってから名乗ろうと、日想(じっそう)観(かん)(日没の方向を見て、極楽浄土を観想すること)を勧めます。弱法師は入り日を拝み、見慣れた難波の景色を心の眼で見渡しますが、盲目ゆえの辛さも垣間見せます。やがて夜も更け、通俊は名を明かし、俊徳丸を伴い高安の里へと帰るのでした。
鉢木 はちのき
 鎌倉時代中期が舞台。鎌倉へ向かう旅僧(実は最明寺入道時頼)が上野国で大雪に見舞われ、とある夫婦に一夜の宿を頼みます。暖を取るため、宿の主は秘蔵の鉢木(盆栽)を火に焚いてもてなしました。常人とは思えずその名を尋ねると、佐野源左衛門常世と名乗り、一族に横領されて零落しているものの、いざ鎌倉に大事あらば馳せ参ると志を述べます。舞台は鎌倉へ移り、あれから間もなくして、鎌倉で兵が集められることになりました。執権である時頼は兵の中から常世を探し出し、過日の旅僧は自分であったと告げ、彼の忠誠を賞して旧領を返させ、さらに鉢木のもてなしの報謝に、その木に縁のある梅田・桜井・松井田の三ヵ庄を与えます。これを賜った常世は歓喜して郷里へ帰っていくのでした。

出演者紹介
CAST

田茂井廣道
Tamoi Hiromichi
日本能楽会会員

越賀 隆之
Koshika Takayuki
日本能楽会会員

片山九郎右衛門
Katayama Kuroemon
日本能楽会会員

浦田 保浩
Urata Yasuhiro
日本能楽会会員